末梢動脈緊張の評価(Peripheral Arterial Tone Assessment)


内皮機能障害(Endothelial Dysfunction)


内皮機能障害は心血管系疾患の最初期での発症の1つです。血管疾患の根本原因および悪化は動脈の内壁の健康に深く関係します。内皮細胞は動脈の内壁を被って、有毒で血液感染性物質が血管を貫通しないように防護壁として機能します。内皮機能障害を発症すると、血管および動脈を被う内皮細胞の機能性は炎症誘発状態に変わり、血管拡張と血栓形成促進作用の低下を示します。医学界では内皮機能障害が潜在的リスクとそれに続く心血管系疾患の間の最も重要な分岐点として広く認められています。

内皮機能障害は心血管系疾患(高血圧、冠動脈疾患、慢性心不全、末梢動脈疾患、糖尿病、および慢性腎不全を含む)の潜在的に最も一般的な形態である、と研究で報告されています。内皮機能障害を放置すると動脈壁は次第に弾性を失い、厚みを増し、硬化し始めます。動脈が硬化すると、栄養分と酸素を豊富に含む血液の組織(心臓を含む)への供給が低下します。アテローム動脈硬化性プラークが不可逆的ですが、内皮機能障害は治療可能であり疾患の改善により心血管系のリスクが低下する場合があります。

VitalScan内皮システムを使用すれば、医師は内皮機能の特定、測定およびモニタリングが可能になります。これによって専門医は内皮機能障害の病理学的症例を最も早い段階で特定することができるのでタイムリーな検出と治療を容易にします。末梢動脈緊張(PAT)は、末梢動脈床における動脈緊張の変化を測定するように設計された独自の技術です。PAT 信号は、動脈の脈動体積変化を測定する指先クリップ型モニターを使用して記録します。この情報で心臓血管と自律神経系を知る手掛かりが得られます。非侵襲的内皮システムで使用される一対の改良型プレチスモグラフのバイオセンサは、PAT 評価技術に基づいています。この最先端の方式は細静動脈血管収縮反射に繋がる可能性が有る末梢部の静脈血液滞留を防ぎます。

末梢動脈緊張(PAT)(Peripheral Arterial Tone)


PAT(末梢動脈緊張)技術は末梢動脈床の動脈緊張の変化を測定します。得た情報は自律神経系だけでなく、心血管系を知る重要な洞察を専門医に与えます。PAT技術は心臓疾患、勃起障害および閉塞性睡眠時無呼吸の発見に現在使用されている非侵襲的な手段ですが、その他の心血管系疾患状態の検出およびモニタリングに非常に効果が高いことも証明されています。

PATデータは情報を早期に伝えるので、PAT技術は疾患の検出とフォローアップにおいて非常に有用であり、結果的に患者の治療を改善し医療費を低下させます。PATシステムは心血管系疾患の検出に加えて、メタボリック・シンドローム、糖尿病、末梢動脈疾患を含めた他の多くの症状の診断と管理を改善する可能性があります。

PATの機能

VitalScan内皮システムはPATテクノロジーを利用して血管緊張の内皮媒介性変化を測定します。PAT技術は簡便な非侵襲的な指プローブまたはバイオセンサを使用します。指尖バイオセンサは得たPAT信号で指動脈の脈動体積を非侵襲的に測定します。

指尖バイオセンサは一定したサブ拡張期圧力を指先に与えます。この方法で指先を調べると動脈壁の緊張が緩和されるので、はるかに大きいダイナミックレンジのPAT信号の発生、末梢部の静脈血液滞留の防止、バイオセンサの指からのずれ、外れの防止等が出来ます。

次に、標準的な血圧カフを患者の利き手と反対側の腕に装着します。同時に起る血管緊張の内皮非依存性変化を制御するために測定も反対側の腕で実施します。カフで締め付けると下流の充血性反応が誘発され、5分間の動脈閉塞を起こします。カフを取り外すと血流が急増して内皮細胞に依存する血流依存性血管拡張(FMD)を起こします。この拡張(反応性充血)はPAT 信号振幅の増加を特徴としています。内皮システムにより、この変動を捕獲して処理します。

すべてのPAT信号データを集計したら、デジタル信号処理アルゴリズムで分析します。得られた情報は専用の最新ソフトウェアを使用して処理され、簡便な形式で医師は知ることが出来ます。このプログラムは閉塞後と閉塞前の比率から内皮指数を計算します。PAT結果は以下のカテゴリに分類できます:

PATスコアが2.1以上:
この低い測定値は心臓疾患のリスクが同様に低いことを示しています。正しく機能する内皮は最大限の保護機能と健康な心臓の維持機能があります。このレベルはグリーンレベルPATと呼ばれます。

PATスコアが1.68と2との間:
この中程度の測定値は多少のライフスタイル変更の必要を示しています。内皮機能は許容範囲内であり現在のところ健康リスクはありませんが、内皮機能障害を防ぎ、レッドレベルに落ちないようにするには予防手段が必要な場合があります。心臓疾患を回避するか遅延させるには、コレステロールの低下、ストレスの管理、禁煙、血圧の低下および減量などのライフスタイルの変更が推奨される場合があります。このPAT測定値はイエローレベルPATと呼ばれます。

PATスコアが1.67以下:
測定値が1.67以下の場合は、至急、治療が必要であることを示しています。この測定値はレッドレベル PATと呼ばれます。

内皮システムは非侵襲的手法を使用して心血管系について知るユニークな洞察を与えます。これは職場または臨床の現場で迅速かつ容易に実行でき、信頼性と再現性を備えた診断情報を提供します。これらの実用面の利点に加え、内皮システムには以下のメリットがあります:

内皮システムのメリット:

• 以下の目的のために心血管系疾患の早期のインディケータです。
o 将来の心臓血管イベントを予測する。
o 既存の心血管系疾患状態を評価する。
o 従来のフラミンガム・スコアの範囲を超えた心血管系のリスクの結果を提供する。
o 内皮機能障害の早期治療を開始してCV転帰を中断または変化させる。

• 勃起障害(ED)を予測します(将来のCVイベントに備えた早期のインディケータおよび独立した危険因子)
o 内皮機能障害はEDの病態生理学に寄与するが、診断されないことが少なくない。
o ED患者が内皮機能障害を併発する場合は10人の泌尿科医のうち9人が治療を変更。
o プリンストン・コンセンサス・パネルはED患者のCVリスク評価を推進する。

内皮機能障害について(What Is Endothelial Dysfunction?)


内皮について

すべての静脈と動脈は内皮と呼ばれる保護細胞の薄い膜で被われています。内皮は血管壁への侵入を許すと損傷を与える可能性がある血液感染性の汚染物質、毒素、微生物、およびその他の要素から血管を保護する為にあります。内皮は炎症防衛メカニズムがありますが時間とともに、またリスク要素に曝されることによって内皮の刺激に対する防衛能力を低下することがあります。損傷を受けると白血球は患部に移動して低比重リポタンパク質(LDL)コレステロールとともに動脈に入ります。長期の喫煙、脂肪分の多い食べ物、塩分、運動不足、およびその他の因子のために内皮の保護能力が低下して内皮機能障害を起こします。

内皮機能障害を発症すると、血管と動脈を被う内皮細胞は炎症誘発状態に変わります。さらに、内皮細胞は血管拡張とプロトロンビン特性の低下を示します。内皮ストレス要因が持続すると動脈壁は弾性を失い、厚みを増して硬化し始めます。これによって栄養分と酸素を豊富に含む血液の組織(心臓を含む)への供給が低下します。曝露が長期間になると、動脈には高いレベルのプラークが蓄積するので硬く、そして狭くなります。この閉塞は高血圧につながり、最終的に心臓発作と脳卒中を起こす場合があります。この状態を放置すると、内皮機能障害は最終的に血管と動脈に深刻な損傷を与える可能性があります。

内皮機能障害

医学界では内皮機能障害が潜在的リスクとそれに続く心血管系疾患の間の最も重要な分岐点として広く認められています。また、心血管系疾患の早期発見のインディケータでもあります。冠循環における内皮機能障害の発症と重症度から、疾患の初期段階にある患者の心血管系イベントについての従来の危険因子を上回る重要な予後的価値が有ることが示されています。

内皮機能障害は深刻な身近な健康問題(具体的にはアテローム性動脈硬化症)に先行することが少なくないので、疾患の適切かつタイムリーな評価と治療が極めて重要です。動脈血管評価は内皮機能についての洞察を与え、超音波や血管造影法などの他の方法ではまだ観察できない血管の構造変化を検出します。従って、動脈血管評価を使用すれば、患者と医師は心臓発作または健康関連の問題のリスクを軽減するために活動的なライフスタイルを変更するか、または薬剤療法を開始するかといった最善の治療を選択できます。

アテローム性動脈硬化

アテローム性動脈硬化は動脈の内膜に沿ってプラークが蓄積する疾患です。プラークは動脈の硬く、狭くなり血流を制限して心臓発作、脳卒中および死亡のリスクを高めます。アテローム性動脈硬化が起きるのは、血管と動脈を被う内皮細胞がプラークの蓄積によって機能不全に陥った場合であると広く受け入れられています。さらに、内皮に損傷を与えたのと同じ危険因子(つまり高血圧、脂肪分の多い食べ物、運動不足など)が内皮機能障害を起こすことが知られています。

内皮機能障害はそれ自体が明らかな疾患であることを心臓病の研究者に示唆する膨大な証拠があります。その示唆するところは、一般に信じられているのとは反対に、内皮機能障害は心臓の血管損傷の根本的原因であり、広く信じられてるアテローム性動脈硬化ではありません。内皮機能障害が内皮損傷の炎症反応(毒素、汚染物質などにより発症)によって起こされるのに対して、アテローム性動脈硬化はその機能障害の身体的な症状に過ぎません。

内皮機能障害によって次に起こるプラーク蓄積、動脈閉塞および心臓発作は心臓疾患と血管に関しての有力な証拠を新しい方法で提供します。従って、心臓疾患の検出と治療は血管と動脈を被う内皮細胞を徹底的に理解することから始まります。