PWV分析の導入(PWV Analysis Introduction)


男性と女性の死亡および致死的な病気の主要原因は心血管系疾患(CVD)です。国立心臓・肺・血液研究所(NHLBI)の指導の下に行われた1948年のフラミンガム心臓研究はCVDを悪化させる因子および特徴の研究を開始しました。その当時は分析機器と、その範囲は限られていましたが試験中に得た脈波形は重要なパラメータでした。研究者は脈波形の目視検査とCVD発症リスク増大とが正確に相関することを解明しました。

最近、St Thomas病院の研究者たちはこの驚くべき発見を見直しました。St Thomas病院の研究者たちは、この初期の所見を詳述し、光電式指尖容積脈波プローブからの指尖脈波が橈骨および上腕動脈圧脈拍に直接的に関連していることを報告しました。

心臓が動脈を通して血液を押出して伝播させるときに脈波は発生します。指尖容積脈波(DVP)波形(つまり、下記に青色で示した収縮期成分)の第1構成要素は、大動脈起始部から指までの脈波の直接的な伝播の結果です。脈波が腕方向に伝播する間に、直接脈波は下半身へ大動脈を経由して押出されます。これにより、動脈径が変化し、分岐部で脈波の一部が反射します。これらの反射は大動脈に伝播した後で指へ伝わり下半身からの単一波反射を起し、それにより第2DVP成分(つまり、下記に緑色で示した拡張期成分)を形成します。腕は直接伝播する波と反射波の両方のための導管として機能しますが、ここではDVP輪郭にほとんど影響が認められません。

DVP波形輪郭は太動脈壁の硬化および血管緊張に直接的に関連します。結果として、DVP波形の特徴はこららの因子により変わる場合があります。



脈波伝播速度(PWV)

ここでは血液循環している動脈系の脈波伝播速度(PWV)を観察し測定します。この生理学的現象は血圧、血流、流速、およびプロフィールなどの変化についての重要な洞察を与えます。脈波の変化は動脈の弾力性の分類に使用するこができます。詳しい説明のために下の図を参照してください。

S(動脈拍動波の開始点)
大動脈弁が開き、左心室の血液が押出される。

P(衝撃波)
左心室駆出により発生する波で動脈壁を直線的に広げる。

T(潮浪波)
小動脈から跳ね返った波。

C(ノッチ部)
心臓の収縮期の終点。大動脈弁は閉じている。

D(重拍波)
大動脈の血圧によって大動脈弁にぶつかった血液から生じる周波数振動波。



心血管系疾患は細い、そして太い動脈の状態に直接的に関連しています。主要な動脈の動脈硬化および脈波増大は心不全、腎合併症、硬化症および心臓発作を含めた健康問題の可能性に対する予兆になります。老化と収縮期圧がPWVを増大させる最も重要な因子です。老化に伴い、動脈の内側石灰化と弾力性低下が起こります。結果として、PWVの測定は老化、血管疾患、動脈に対する血管拡張および血管収縮物質を研究するのに有用です。

脈波伝播速度の測定:

• 血管系機能の迅速で客観的分析。
• 動脈硬化および脈波増大の定量化。
• 心血管系の健康についての洞察。
• 薬剤、治療、ライフスタイル/ダイエットのモニタリングを容易にする。
• 疾患増悪を管理する支援。

PWV分析

PWV分析はハイパーテンション(つまり、高血圧)の診断と治療にとって不可欠であると欧州高血圧学会は広く認識しています。PWVと心臓血管関連の病気、イベントおよび死亡との間には証明された相関関係があります。

医療専門家は動脈硬化インデックス(EEI、DDIおよびDEI)から重要な情報が得られます。このテストから血管系機能の迅速で客観的分析が得られます。この情報は医療専門家に情報を提供し、指針となるので有用です(つまり、症状または臨床徴候前に治療するべきかの判断にデータを使用出来るからです)。

健康上のリスクについて何ら制限することなく、PWV分析は血管系が正常に機能いるのかどうかを測定します。健康な心臓は酸素と栄養素を効率的に体内に供給しする一方で、腎臓、肝臓および肺へ送り出し老廃物を除去します。これらを実施するために動脈は良い状態でなければなりません。動脈は時間が経過するとアテローム性、動脈硬化性、または硬化(弾性の減少と狭窄の増加による)になることがあります。この変化が心臓、弁、および動脈に負担をかけるので脳卒中、心臓発作、腎不全および/または突然死の原因になる可能性が有るのです。

内側石灰化と弾力性低下(つまり、加齢)による動脈硬化はPWV上昇をもたらす最も重要な因子です。脈波伝播速度(PWV)は血管内皮機能不全(つまり、動脈の弾性)および動脈硬化の評価には効率的で高度に再現可能な指数です。

概要

心収縮することで動脈を通って血液が伝播されます。排出される血液量の領域からの運動エネルギーから血管壁の伸張領域でのポテンシャル・エネルギーに移動して、動脈を通って血液が伝播されます。それに伴い、血圧、血流、流速およびプロフィールに変化が起こります。これらの変化は脈波として知られる生理学的現象であり、簡単に観察が可能であり、動脈弾性を分析し使用するために測定可能です。

相関性

老化はPWV上昇をもたらす最も重要な因子です。動脈硬化は老化に伴う石灰化と弾力性低下により起こります。ある研究によるとPWV上昇はアテローム性動脈硬化の発症(糖尿病などの)の予兆であり、別の研究によると、年齢によるPWV上昇が無い被験者でもすでにアテローム性動脈硬化の発症の素因が有る(つまり、家族性高コレステロール血症)ことが報告されています。しかし一方で、アテローム性動脈硬化の過程と動脈硬化との間の質的関連性は立証済みです。

高血圧はアテローム性動脈硬化よりも明確に、老化関連の動脈硬化の亢進をもたらすことが調査で分かっています。血圧は高血圧の貴重な第1インジケーターであり、PWVの情報はより詳細です。PWV分析は圧反射誘導性脈圧からくる運動を誘導することで動脈壁の運動を測定します。

大動脈損傷は高血圧などの疾患状態に認められる心血管系の病気および死亡率の上昇をもたらします。このような損傷に関連する動脈伸展性は収縮期圧と動脈脈動性の不均衡な上昇をもたらします。このような因子は心血管系疾患の有病率および死亡率の上昇に関連しています。脈波分析は老化、血管関連疾患、および動脈を拡張または収縮させる物質を研究する場合に貴重である動脈硬化と伸展性についての洞察を与えます。

糖尿病および冠動脈疾患の患者は非閉塞動脈における低下した動脈機能遂行能をしばしば示します。アテローム性動脈硬化になると、動脈壁が厚くなり、硬化し、さらには狭窄する傾向があり、それにより血圧脈拍からのエネルギー吸収効率が下がります。これによりPWVが上昇します。

主要な動脈の状態を把握することが心臓血管関連の病気の早期発見、治療および予防の鍵です。動脈硬化の分析は心臓発作、心不全、糖尿病、および腎合併症を含めた健康の潜在的問題の多くの洞察を与えます。

指プローブを用いたPWV測定

心臓の収縮時に指に伝播する直達波が生成されます。この波は下半身で反射し、さらには指まで伝播します。直達波と反射波の組み合せを指プローブを用いて測定し記録します。



ディジタル体積脈波(DVP)

指尖容積脈波(DVP)波形(つまり、収縮期成分)の第1構成要素は、大動脈起始部から指までの脈波の直接的な伝播の結果です。脈波が腕方向に伝播する間に、直接脈波は下半身へ大動脈を経由して押出されます。これにより、脈波を指に反射させる動脈圧の変化が起ります。この反射は大動脈に伝播した後で指へ伝わり、下半身からの単一波反射を起し、それにより第2DVP成分(つまり、拡張期成分)を形成します。腕は直接伝播する波と反射波の両方の導管として機能しますが、ここではDVP輪郭にほとんど影響が認めらません。

デジタル体積脈波(DVP)測定

指を通る赤外線の透過によりDVPを測定します。吸収された光の量は指の血液体積に比例します。

血液体積の変化を測定する最適レベルを維持するために制御システムが設置されています。これにより、血管収縮または不十分な灌流による不正確な信号の可能性を最小限にします。

動脈硬化測定

動脈硬化を予測する場合にPWVシステムは優れた効果を発揮します。赤外線を用いた指センサーで得られたデジタル体積脈波データを用いて、PWVシステムは動脈を伝播する脈波の所要時間を測定します。この測定から得られた波形は、脈波が動脈系を伝播するのに必要な時間と正相関します。脈波が動脈を伝播する速度は動脈硬化に直接関連しています。従って、この測定によってPWVは血管の変化を評価する価値のある非侵襲的な道具となるのです。

動脈硬化の臨床的意義

変化から独立してPWVシステムにより測定されたDVP波形は血管構造によるものですが、むしろ大動脈における動脈硬化(SIにより推定)と血管緊張(RIにより推定)により決定されます。動脈硬化から内臓の健康を効果的に測定しますので、必要なライフスタイルの変更または薬物治療に対する洞察が得られます。また、心臓血管関連の病気を含めた数多くの健康リスクの強力なインジケーターです。

内皮機能測定

動脈硬化に加えて、PWVシステムは動脈樹の血管緊張を効果的に測定します。信号調整回路が付いている高忠実度のフォト・プレチスモグラフィ変換器を用いて、PWVシステムはDVP波形を測定します。強力な制御システムは指のサイズに関係なく、非常に正確に血液体積変化を測定する最適伝送レベルを維持します。このシステムは非侵略的であり、かつ、動脈硬化および血管緊張を測定するオペレータに依存していません。

内皮機能の臨床的意義

サルブタモール(アルブテロール)などの内皮依存性血管拡張薬を用いてPWVシステムはDVP波形の変化を観察、測定することが出来ます。これらの観察は内皮機能の評価に使用してもかまいません。サルブタモールは吸入器で簡単に投与でき、病院または患者の自宅で出来る簡単な検査です。

PWV分析製品情報(PWV Analysis Product Information)


PWVシステムは非侵略的な指プローブを使い患者から波形情報を得ます。圧平眼圧計からの測定値は以下を含みます。
• 駆出時間。
• 大動脈増大係数および血圧。
• 心内膜下生存率。

本システムは高血圧、糖尿病および腎臓病の健康状態管理、ならびに心臓血管関連の病気の早期同定に有用です。

PWV分析の主要な用途:

1. 早期同定:以下の危険性のある患者を容易かつ迅速に決定します。
a. 高血圧。
b. 動脈硬化症(動脈の硬化)。
c. 血液循環問題。
d. 早期血管老化。
e. より小さい血管の障害(血圧測定用カフで検出されない障害)。
2. 評価の改善:高血圧、糖尿病、心不全に係る動脈硬化を測定します。
3. モニタリング:薬物治療の効果を評価します。

システムの特徴:

1 下記を含む主要なパラメータの分析。
o 大動脈圧。
o 大動脈収縮期血圧。
o 大動脈増大係数。
o 左心室負荷。
o 左心室および上行大動脈の脈圧(脳血流を駆動する)。
o 中心収縮期血圧(圧受容器によって観察された)。
o 心周期との関係での放出時間。
o 心周期の動脈灌流圧。
2 動脈硬化の評価および心臓に与える臨床的影響。
3 心内膜下生存率の測定。

メリット:

• 将来の心血管系のイベントの早期予測。
• 上腕圧の測定で検出することが出来ない薬物効果の評価。
• 内臓障害のインジケーターおよび心血管系リスクの予測因子として国際的なガイドラインとして認められています。
• ライフスタイルの変更および患者への薬物治療の効果がある明らかな証拠。
• 快適で非侵略的
• 使い捨てるものが無い。
• 実時間試験。
• 自動であり、オペレータに依存しません。








PWV用途(PWV Applications)


心疾患は他の疾患よりも多くの人に発症する広範な病気です。多くの人は脳卒中または心臓発作を発症するまで自分が心臓の問題を抱えていると特に意識しません。心疾患になる因子は多様であり、その因子数は増え続けてます。高コレステロール、喫煙および血圧などのライフスタイルの問題が心臓発作と脳卒中に直結している一方で、老化と糖尿病などの他の決定要素が因子として知られています。

これらの因子で動脈硬化になり、血液流が収縮するので仕事量が追加され心臓に負担がかかります。

脈波伝播速度分析は血圧を精密に、かつ標的法で測定します。これにより、医者は動脈と心血管系の健康を極めて高い精度で評価することが出来るようになりました。従来の腕カフを用いて心臓の位置の血圧と腕の位置の血圧を測定します。脈波伝播速度の測定は医者に心臓と血管との間の相互作用に対する貴重な洞察を与えるので、心臓の機能遂行能の分析が可能となります。

この革新的な技術は心臓機能の多くの情報を与える腕カフ測定での相補的診療です。従って、患者の自宅、病院、さらには手術室内で有用です。心臓内科医、医者および個人が心臓機能および心臓と動脈の機能遂行能について理解できるより詳細な情報を提供します。

心臓病学と一般診療
PWVシステムは病院または専門の環境へ無理なく適合し、さらには、患者の健康と動脈機能に関する貴重な洞察を与えます。従って、医者と患者はより良い治療方法を決定することが出来ます。

• 不整脈や他の異常をスクリーニング。
• 動脈の状態を評価。
• 高血圧の薬をより効果的に処方。
• 心血管系の病気を早期同定。
• 薬物治療の効率をモニタリング。
• 理解しやすい検査結果をもとにライフスタイルを向上。
• 包括的で、一貫して正確な血圧測定。

運動
プロのスポーツまたはフィットネスの場合でも、PWV分析は心臓の機能遂行能と健康全般に関する重要な情報を与えます。検査結果を用いて、やる気を出させ、効果的なトレーニング計画に使用することが出来ます。

• 血管年齢(これは、動脈の健康全般のインジケーター)の周知。
• 進行の追跡(ある期間に運動がどの様に動脈の健康に良く影響したかを測定)。
• ウオームアップと競技に入るタイミングの決定。

高血圧
使い方が簡単なデバイスが高血圧を効率的に診断し、管理し、モニタリングして詳細な情報を与えるので心臓の機能遂行能と動脈の健康を見ることができます。

• 末梢血圧および脈拍数の計測(高血圧診療での主な指数)。
• 中心血圧測定を使った心血管系のイベントの予測(末梢血圧よりも強力な予測因子)。
• 増大係数の測定(動脈年齢のインジケーター、状態、治療に対する反応)。

妊娠
PWVシステムは迅速に使いやすく作動し、顧客価値に関する情報を提供するので継続的な顧客関係が作れます。

• 血管年齢(これは、動脈の健康全般のインジケーター)の周知。
• ライフスタイル、治療および薬の効果の追跡。
• 不整脈や他の異常のスクリーニング。
• 正確な血圧測定。

健康ケア業界
健康ケアおよびPWV分析を使った患者の健康全般に関するプログラムの効果を示します。

• 場所(例えば、病院、家庭など)を選ばないで詳しい心臓評価の実施。
• 健康に関する詳しい内容を顧客への提供。
• 健康なライフスタイルの効果を紹介し患者の様態の追跡。

動脈弾性を検査する理由(Why Test For Arterial Elasticity?)


米国とカナダを含めた世界の多くの国で心臓発作と脳卒中の形態で起こる心血管系疾患が主な死亡原因です。さらには、心臓血管関連の病気および障害を患っている多くの人がいます。医療費と人命の損失という両方のコストは驚異的です。

内皮の健康と血管の機能遂行能は心血管系の健康全般と正相関します。ここにおいて動脈機能遂行能を検査しモニタリングすることで早期の介入と疾患の予防を可能にします。

血管の弾性と機能遂行能は老化と疾患により変化します。起こった変化は心血管系のイベントおよび健康問題につながる可能性のある動脈の脈動機能を損傷します。脈動機能または脈波伝播速度を測定するこにより従来の血圧測定で得られる以上の重要な情報が得られます。

動脈硬化(Arterial Stiffness)


ここでの動脈硬化の記述は動脈のコンプライアンス、または弾性に関するものです。動脈が硬くなる、または硬直することを 動脈硬化症と言います。動脈硬化の程度で血液を体内に押出すのにどのくらいの力が必要かが決定されます。

なぜ、動脈硬化は重要なのでしょうか。

動脈の機能遂行能は心臓発作または脳卒中などの心血管系のイベントの可能性に直接関連しています。動脈硬化を測定することで大動脈について洞察が得られ、リスクのある患者の早期同定が可能です。また、動脈硬化は腕カフを用いた従来の血圧測定法よりも心血管系の問題のより正確な予測因子であることを示しています。

動脈硬化の測定方法

• 増大係数:脈波形に基づく動脈硬化の測定。
• 中心血圧測定:動脈硬化と伴に増加する傾向。
• 脈波伝播速度:圧脈拍が動脈樹にある2つのポイント間を伝播するのに必要な時間の測定。
• 頸動脈中内膜厚:超音波で動脈壁の厚さの計測。

PWV分析はどの様にして動脈硬化を測定するのか。

PWV分析は動脈硬化を予測することに非常に有効です。本システムは動脈を脈が伝播する時間を測定する赤外線を用いた指センサーを使用しています。脈の伝搬速度は動脈硬化に比例します。この測定から得た増大係数と中央血圧データはともに大動脈硬化の認められたインジケーターです。

動脈硬化と血圧はどの様に関連するのか。

心臓が動脈系に血液を押出す時、動脈のこわばりの具合によって如何に血流が体内を容易に通るかが決定されます。柔らかく、弾性的動脈は容易に、かつ、効率的に血液を伝播しますので心臓には負担がかかりません。しかし、硬くて硬直した動脈は血流に対してより大きく抵抗がありますので、心臓に過度に負担をかけてしまいます。各心拍の強さ、および血流に対する動脈の抵抗が血圧を決定します。

動脈硬化を軽減させる方法

動脈硬化が問題になる場合、多くの方法で治療を行います。

• 運動
o 一定の運動をすることで硬化の進行を防止して弾性を向上させる。

• 血圧の薬
o 動脈壁をリラックスさせる血圧の薬を選択し、それにより硬化を減少させる。

• 新薬
o 長期による損傷は不可逆的ですが、新しい治療へと繋がる新薬研究。

• カスタマイズされた治療
o ライフスタイルと治療法の選択肢の組み合せを処方する。

大動脈硬化(AORTIC STIFFNESS)


脈波伝播速度は健康一般に与える動脈硬化の影響を分析するのに役立ちます。大動脈硬化は心血管系の病気およびイベントの有効な予測因子であり、インジケーターでもあることは広く認識されています。

例えば、老化に伴う硬化した大動脈において脈波伝播速度が高くなると、反射波(収縮期)が心臓へ早く戻るようになります。この測定は3つの可能性のある心血管系の転帰のリスク増大を示します。

1. 中心血圧の増加
中心収縮期血圧の増加し脳血管にストレスが発生します。これにより、脳卒中に繋がる可能性が有ります。留意事項:この変化はカフ収縮圧力に気が付くような変化が無くても起こります。



2. 左心室負荷(LV負荷)の増加
左心室負荷(LV負荷)が増加すると左室重量および左室肥大が加速し増大します。LV負荷の増大は黒い矢印で示した領域で描いてあります。



3. 拡張期におけるび冠動脈灌流圧減少
冠動脈の灌流をする圧力により、重要な拡張期が縮小します。これにより心筋虚血のリスクが高まります。



PWV分析と運動(Pwv Analysis And Exercise)


運動が動脈の弾性を向上させ、硬化度を減少させるという研究報告があります。長期的に動脈に劇的な影響があるだけでなく、良い効果が直ぐに明示され測定可能です。運動後、反射脈波が心臓まで戻ってくるのに必要な時間が減少するので、心臓の負荷を緩和し心血管系の健康一般を増進させます。長期間継続した場合には、有酸素運動と、ヨガおよびピラティスなどの柔軟運動との組み合せが動脈の弾性を向上させる報告があります。

PWV分析と運動

PWV分析により、動脈硬化への運動の影響について貴重な洞察が得られます。運動前、運動中、運動後、そして長い期間の後に動脈の状態を評価して血管系の健康の簡単な追跡、モニタリング、分析が可能になります。PWV分析中に得たデータは以下の状態で有用になります。

• ウオームアップ
o 運動反応で動脈が拡張する速度を測定します。体が正しくウオームアップして次のレベルに進む準備が出来た時を特定します。

• 即時効果
o 血流の効率性および有効性を測定するために、高いレベルの運度に体がどの様に反応したかを評価し動脈の反応をモニタリングします。

• 運動後の回復
o 運動を終えた後、動脈が安静時の状態に戻るまでの時間を確認します。

• 長期の効果
o 処方されたトレーニング計画、ライフスタイルの変化、高いレベルの運度等に基づいて長期間に亘る血管年齢の改善を追跡します。

典型的な運動反応

運動は増大係数を用いて測定出来る血圧の生体反応を起こします。運動中は脈拍数が増加し増大係数は減少します。その一方で、運動をしている間に微小の変化が血圧で認められます。運動を中止すると増大係数と脈拍数の両方がそれぞれ安静時の値に戻ります。

以下の図は脈拍数、拡張期血圧および収縮期血圧で測定した運動における典型的な反応を示します。また、運動前、運動中そして運動後の変化も示しています。



ウオームアップの効果

運動量を上げると心臓は臓器にエネルギーを供給するためにより多くの血液を送り出します。運動開始時点では動脈はまだ拡張していません。続いて、酸素化された血液を臓器に急いで供給しようとするので血圧が上昇します。この初期の不均衡は心臓の負担を増大させます。これにより、運動量の増大と血圧の急上昇に反応して動脈が拡張します。動脈の拡張で血流がより効率的に流れ、心臓から体全体に血液が効率的に伝播します。また、動脈の拡張は心臓の負担を減少させるので血圧が正常になりますが、一方で、高い脈拍数は維持されます。

運動の効果

運動は血流と循環に著しい変化をもたらします。これらの生体変化は以下を含みます。

• 高い心拍数。
• 血圧の変化。
• 血管拡張。

運動が患者の通常の日常生活の一部ではない場合には、被験者がリラックスしている安静時の状態にある時にPWV測定を実施しなければなりません。これにより、最も正確な評価をすることが出来るからです。

運動の前



運動の後



高血圧研究リビュー(Reviews In Hypertension Research)


以下の著書および論文は心血管系の健康の中での動脈の健康の役割についてより意義深い研究とデータを提供しています。

「動脈の再発見」(“Rediscovering the Arteries”)

John R CockcroftとIan B Wilkinson (2002年) は、動脈硬化の分析は心血管系疾患の管理に寄与する、と結論しました。将来の試験のための申請がLaurentらによって実施され(2002年)、動脈硬化の測定方法がMackenzieらによって提案されました(2002年)。

動脈硬化の測定技術は心血管系の薬に対する適用可能性および関係性として、Oliver & Webbによって更によって詳述されました(2003年)。これら初期のリビューは動脈健康と血圧測定の役割の重要性を示しました。

「動脈症候群としての高血圧」(“Hypertension as an Arterial Syndrome”)

Izzo(2004年)は、孤立性収縮期高血圧と動脈硬化との関係を報告し、一方、Kass(2005年)は動脈硬化と心室機能との相関関係を述べました。この問題はNichols(2005年)および、後年、Ziemanらにより更なる推定がなされました。

これらの重要な進展が動脈硬化の方法論と臨床応用についての専門医の合意事項(Laurentら、2006年)の発表の推進力になりました。Hirataら(2006年)。Cohn(2007年)は、これらの所見に基づいた動脈硬化の測定および高血圧治療の潜在的なメリットについて述べております。Michael F O'RourkeとHashimoto(2008年)は動脈硬化の所見の研究史概説を発表し、さらに、Franklin(2008年)は動脈硬化を心血管系疾患についての新規で信頼性が有るインジケーターであると報告しました。

「心血管系疾患を管理する動脈治療」(“Treating Arteries to Manage Cardiovascular Risk”)

P. Avolioら(2009年)は、中心血圧と末梢血圧との違いを強調する一方で、血管年齢に基づく心血管系のリスクの管理を提案しました。Alberto P Avolioら(2010年)は、血圧管理の将来としてカフを用いた血圧測定と末梢脈拍波分析とを組み合せる方法を発表しました。

臨床上の問題(The Clinical Problem)


世界保健機構(2011年)の最新のGlobal atlas on cardiovascular disease prevention and controlによると、心血管系疾患は世界の死亡および身体障害の第1位の原因です。心血管系疾患は心臓、心臓の血管、および全身に広がった、および脳内の血管のシステム(静脈と動脈)からなる心血管系疾患と損傷であると定義されます。心血管系の病状を発症する危険因子としては以下からなる家族歴が含まれます。

• 心血管系疾患または心臓血管関連の死亡
• 病的肥満
• 糖尿病
• 高コレステロール
• 高血圧

これらの遺伝の問題に加えて、ライフスタイルが心血管系疾患の発症に重要な役割をはたします。喫煙および座っていることが多いライフスタイルなどの因子も予測因子として知られています。これらの従来からの危険因子が無い場合には心血管系の問題の可能性を評価するために専門医は動脈健康を検査します。

大部分の心血管系疾患は予防可能ですが、予防するには早期に措置をとる必要があります。動脈は治療の向上を目指すために心血管系の健康についての、より詳細な情報を提供します。そうは言っても、プラークがたまって動脈が有意に閉塞してしまうと専門医が動脈の機能と構造を評価する能力が限定されてしまいます。

PWVシステムを用いればリスクのある患者を発見するために実施する、専門医による動脈の機能評価を初期の段階で可能にします。早期のスクリーニングは、深刻な問題になる前に根本的な血管状態の早期の診断および/または治療をすることに役立ちます。また、PWVシステムを用いれば、専門医による問題の特定とターゲットを絞った診断評価を行うことを可能にします。最後に、PWVシステムを用いれば、介入が望んだ効果を持つようにするために専門医による動脈の健康をモニタリングすることを将来のどの段階でも可能にします。

心血管系分析の利用法(How Cardio Vascular Analysis Helps)


従来の方法は心電図(ECG)、心エコー検査、ストレス試験などの方法で心血管系の分析を主に実施してきました。これらの検査は心臓の機能を評価するには有用ですが、その範囲は心臓に限られるので動脈についての重要な洞察を得ることが出来ません。動脈の健康は心血管系の機能に内在的にリンクしていることは十分に確立しているので、動脈に関する評価をすることは最適な方法です。

動脈に関する評価をすることで心血管系の健康についての詳細な評価が可能である一方で、心血管系の病気が進行した後期の相では従来の方法は情報を抽出しません。これは動脈の機能的、構造的保全にとって脅威となるプラークがたまるからです。PWVシステムは動脈閉塞を回避して動脈機能を正確に、そして簡単に評価します。

そのため、動脈評価による心血管系分析は以下の理由で重要です。

• 動脈弾性に関する臨床的検討は、動脈弾性の低減と最終的な心血管系のイベントとの間の相関性を十分に特定します。

• 動脈硬化は従来からの危険因子が無い場合でもしばしば認められおり、また、追加的なデータにより高血圧、糖尿病、心不全または冠動脈疾患を罹っている患者の動脈弾性の喪失に十分に結合させます。

• 動脈弾性の僅かな変化から心血管系の病状全般に関する有用な洞察が得られることが研究結果が示唆しています。動脈弾性の変化は高血圧や糖尿病などの疾患状態にしばしば先行し、これらの変化は動脈の血圧波形に反映します。

• 血管の変化は心血管系疾患の典型的で明白な症状、および心臓発作または脳卒中の発生に数年先行することをデータが示しています。さらには、臨床的検討により、動脈弾性の喪失と老化との間には関係性があることを示し、動脈硬化が心血管系疾患の早期診断マーカーであることを示唆しています。

PWVシステムは心血管系の健康について、簡単で非侵略的な測定・分析を可能にします。得られるデータからは心血管系のイベントの強力な決定要素である動脈弾性、硬化および血管における変化の有用な洞察が得られます。臨床分析により全ての重要な心血管系の問題に関する早期スクリーニング、治療さらにはモニタリングが出来るのです。