自律神経バランス分析 - ANS


心拍変動 (HRV) は、心拍間の時間間隔に変化を生じさせる生理的機能です。心拍の変化には、心血管自律神経機能の質が反映されます。自律神経機能 (または自律/内臓神経系機能) は、腸、心臓、平滑筋、腺の不随意運動 (呼吸、消化など) を制御しています。この機能は、交感神経系および副交感神経系という、生理学的・解剖学的に異なり、互いに拮抗し合う 2 つの下位システムから構成されています。

VitalScan システムは、自律神経系 (ANS) を構成する交感神経枝および副交感神経枝の活動を監視することが可能な HRV 検査を提供することで、患者の自律神経機能の状態を正確に評価します。

VitalScan では、両面アプローチによって患者を評価することができます。そのひとつは、後で多数の臨床診断と関連付けることが可能な、特定タイプの自律神経機能障害を検出するアプローチです。もうひとつは、標準的な方法では見過ごされることの多い詳細で徹底した患者評価を医師に提供する、綿密かつ包括的な評価手法および生理学的モニタリングを利用するアプローチです。

VitalScan の診断装置としての独自性は、その臨床的応用範囲の広さにあります。VitalScan によって、以下が可能となります。

• 安静時の自律神経バランスの評価
• 起立時の ANS 反応の評価
• バルサルバ法および深呼吸中の自律神経反応の評価
• 交感神経および副交感神経による呼吸に関する自律神経バランスの補正

HRV 評価の開発における VitalScan 手法の重要性:

かつて自律神経機能は、自律神経バランス (自律神経の恒常性)、交感神経活動優位、副交感神経活動優位という 3 つのパラメータによって近似的に評価することしかできませんでした。これらのパラメータの評価に適用された基準は臨床所見と検査所見であったため、自律神経機能の評価は労働集約的であり、常時実施できるものとは限りませんでした。

HRV 解析の登場によって ANS 評価に革命がもたらされ、その理論的応用について新しい扉が開かれることとなりました。しかし、この重要な科学的発見を実用化するには、SNS と PNS の定量的相関関係をスペクトル関数から導き出す必要がありました。

HRV 解析の基盤は、心拍変動、特に連続する R 波の時間間隔 (「RR 間隔」) の変動を測定することにあります。測定によって得られた RR 間隔には、スペクトル解析 (VitalScan はこの方式です) または他の数理解析法が適用されます。この数学的解析の結果、複数のパラメータ (時間領域と周波数領域) が生成されます。SNS-PNS の定量化にあたっては、これら複数のパラメータの考えられるすべての変動を、どのようにして SNS と PNS の定量的相関関係へと整理するかという問題が付きまといます。この問題は、長年にわたって HRV 解析の実用化を阻む最大の壁でした。



VitalScan は、SNS-PNS 定量化の問題を解決した「最初にして唯一のシステム」です。この技術的躍進は、独自のアルゴリズムと先駆的なアプローチによって成し遂げられたものです。VitalScan に採用されているアルゴリズムは、30 年以上にわたって繰り返されてきた開発とテストの成果です。その有効性および正確性に関する研究を完成させるために、5 万人を超える患者のデータが使用されました。

こうした徹底的な研究によって、安静時および起立時 (座位から立位への移行時)、バルサルバ法と深呼吸の併用時の ANS 状態に関する、客観的で信頼性の高い評価が得られました。VitalScan は、応用範囲が広く、高度に洗練された解析法です。それゆえに、VitalScan は最大 100 種類の ANS 状態を正確に評価・分類でき、同時に各状態についての説明を提供できるただ 1 つの手法となり得ています。

VitalScan 手法が開発されるまでは、研究室外で独自に ANS を評価する実際的な手段は存在していませんでした。VitalScan は、診療所に実験室分析を持ち込み、HRV スペクトル関数の定量的解析とそこから得られたパラメータの定性的解析が可能な最初にして唯一のシステムとなりました。

VitalScan 研究チームの成果であり目標でもあることは、心血管疾患のリスク評価、心臓・外科介入のメリットに関する客観的評価、薬剤が自律神経機能に及ぼす影響の定量化といった複数の臨床応用が可能な信頼性の高い装置を、世界中の医師に提供することです。

Autonomic Balance Analysis - ANS

意義


心拍変動 (HRV) は、心拍間隔の変化を表す尺度です。心拍変動解析は、自律神経機能評価の強力なツールです。高い精度と信頼性を誇りながら測定自体は簡単 (非侵襲的測定) で、処理も迅速です。

HRV 解析では、心臓と脳および自律神経系の相互作用を反映している神経心臓機能が評価されます。自律神経系は事実上あらゆる器官系の機能に関わっており、自律神経機能障害の臨床症状はほとんどすべての疾患で観察されています。それゆえ、HRV 解析は数多くの疾患過程でスクリーニングやモニタリングに利用されています。

用途


心拍の変化が激しくなると、心拍変動は増大します。 これは、健康状態が良好であり、自律神経機能 (交感神経系と副交感神経系) のバランスが取れていることを表します。対照的に、心拍があまり変化しないときは心拍変動は減少し、自律神経機能がアンバランスになり、生理学的異常が生じていることを示します。

VitalScan を利用すると、診療所に実験室分析を持ち込むことになり、患者の健康状態を手軽に、しかし確実に評価することができます。VitalScan 手法には、次の用途があります。

• 治療や介入の効果の確認
• 患者の総合的な健康のモニタリング
• 一般集団のスクリーニング
• 動悸、疼痛管理、睡眠時無呼吸、不安神経症、ストレス、精神的疾患、喘息、神経学的疾患といった様々な健康問題の特定
• CAN (心臓自律神経障害) および DAN (糖尿病性自律神経障害) の検査
• メタボリック シンドローム、高血圧、心不全などの症例における交感神経優位の測定
• 臨床的に明らかな健康状態にはないケースで、好ましくない部分を特定するためのスクリーニング

科学的根拠


HRV の減少は、心血管疾患および神経学的疾患、糖尿病や肥満症といったその他の代謝性疾患の予後不良を引き起こします。

短期的な HRV 解析によって、心臓疾患の重症度分類に当てはまる、早期死亡リスクの高い患者を特定することができます。

HRV 検査手法は、薬剤の悪影響を表す初期兆候を監視する機能を別に備えており、それらが検出されるように最適化することも可能です。

一般集団を対象とした研究では、HRV パターンの崩壊は、有害事象との関連が考えられる危険にさらされた健康状態の有益な指標となります。

物理的介入や薬剤介入によって HRV が増大すると、予後が良好になります。

重要な臨床応用


VitalScan 評価は、心血管疾患および神経学的疾患、多くの有害健康事象と関連がある代謝性疾患を監視する機能を別に備えており、それらが検出されるように最適化することが可能です。VitalScan の製品範囲は、臨床検査および最適化された患者評価が可能な、簡便で費用効果の高いソリューションを医師や医療従事者に提供できるものとなっています。VitalScan の応用範囲は、次のとおりです。

• β遮断薬反応性
• CAN (心臓自律神経障害)
• DAN (糖尿病性自律神経障害)
• 心筋症
• 心不整脈
• 鬱血性心不全
• 失神
• 高血圧
• 睡眠時無呼吸
• 喘息
• COPD (慢性閉塞性肺疾患)
• 末梢血管疾患
• 循環器疾患
• 疼痛管理
• 神経学的疾患
• 慢性局所疼痛症候群
• 不安神経症/ストレス
• パーキンソン病
• 精神的疾患